4. 合理的配慮は、障害者と企業等の両者をつなぐ

1. 合理的配慮とは

障害を企業等に開示することで理解を求め、障害特性に対する配慮を得られる合理的配慮。障害者雇用を目指す方にはとっても重要なキーワードです。

なお障害者差別解消法には、企業等に対して「障害者から助けを求められた場合には、合理的配慮の提供をおこなう」と定められています。

障害者雇用促進法には、企業等に対して「障害者が自分の能力を発揮して仕事をスムーズに進められるよう、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。

ちなみに障害者雇用は障害者手帳が必須ですが、合理的配慮は障害者手帳の有無は関係ありません。障害により社会生活で困っている人全てが対象になります。ですが、困ったらいつでもあらゆる配慮を受けられる・・・というわけではありません。

権利を主張するためには当然に義務もあります。

2. 合理的配慮を受けるには

かつては障害者は無力な存在とされ、自己判断もままならない時代がありました。しかし現在においては、障害者自身の努力によって、普通の市民としての権利を持つ人間であることが認められました。

2006年の国際連邦議会で採択された「障害者権利条約」では「私たち抜きに私たちのことを決めるな」を合言葉に策定が進められたのです。これが意味するものは、障害者には無条件に配慮を差し伸べるのではなく、障害者から助けを求められた場合には配慮をするという気高い姿勢です。

つまり、合理的配慮を求めるならば障害者が自分で申請する必要があるのです。実際に障害者雇用で採用されてどのような合理的配慮を受けられるかは、企業等との話し合いが必要です。

3. 押さえておくべきポイント

合理的配慮が法律で定めらていると言っても、企業等には「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」とされています。

例えば、足に障害がある方が、エレベーターがない建物の2階テナントに就職したとします。2階に行くには階段を使うしかありません。当然に足に障害がある方にとっては2階まで昇ることは一苦労です。

できることなら2階ではなく1階だったら・・・と思われるでしょう。そこで合理的配慮として、1階テナントへの移転を希望!

とされても、残念ながらこの合理的配慮は却下されることになるでしょう。これは極端な例ですが、障害者の要望であっても、企業等にとってコスト負担が大きすぎる配慮は「対応しかねる」となるわけです。この背景には「誰もが平等な社会の実現」があります。

つまり、障害者の配慮も重要ですが、企業等にも過剰な負担を強いては不平等が生まれます。この考え方にもとづき、合理的配慮は障害者と企業等の話し合いによって、提供される合理的配慮が決まります。

4. 配慮事項は変化する?

ディーキャリア春日部オフィスの場合、「あなたの取扱説明書」であるナビゲーションブックに企業等へ求める配慮事項を記載します。そして実際にどのような内容を配慮事項とするか、就職が決まるまで何度も修正を重ねてもらいます。

・・・障害特性なのだから、配慮事項は変わらないのでは、と思われるかもしれません。

しかしながら、ディーキャリア春日部オフィスで行われる訓練を重ねていくと、当初は障害特性だと思っていた内容が、単なる経験不足によるものだった、対処法を知れば自己解決できる、というように認識が変わることは珍しくありません。

合理的配慮はあなたご自身と企業等の両者をつなぐ大切なものです。自己理解を深め、お互いが理解し尊重し合えるナビゲーションブックを作りあげましょう。


【監修者】 澁江信男
ディーキャリア春日部オフィス ライフスキルコースを担当
サービス管理責任者の資格を有し、精神保健福祉士、社会福祉士、介護支援専門員の資格者

 

Published On: 2023年4月28日Categories: ディーキャリア

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